【書評】ロスト・インタビュー スティーブ・ジョブズ 1995

ぼくは今年で32歳になる。32歳――。スティーブ・ジョブズで言えば、Appleを解雇され、NeXTとピクサーのCEOとして奔走していた頃だろうか。

そんなジョブズがAppleに舞い戻る1年半前、40歳のときに語ったTV局の独占インタビュー。そのVHSテープが、2011年、ジョブズの死後に発見された。

スティーブ・ジョブズの名言が満載。

既成概念などものともしないジョブズ。そんなジョブズらしい考え方の数々を惜しげも無く披露しており、非常に示唆に富んだ内容となっている。

例えば、こうだ。

ビジネスの経験を通して気づいたのは、「どうしてこんなやり方をするんだ?」と訊くと、「そういうふうにやるものと決まってるんだ」という答えが必ず返ってくるということ。どうしてそうするのか、その理由を知っている人間は誰もいない。誰もビジネスについて深い思索を巡らせていないんだ。

考え方を学ぶこと。それがプログラミングを学ぶ最大の価値だろう。

いちばん大事なのは会社であり、人であり、私たちが作っていた製品であり、その製品を使って人々が何をできるようになるかということだったから。お金のことはあまり考えなかったよ。

アップルに非常に大きなダメージを与えたのは、私が去った後でジョン・スカリーがかかった、ひどく深刻な病だ。私はほかの人たちがその病にかかるのも見てきたけれど、その病とは、すばらしいアイデアが仕事の9割を占めていて、そのアイデアをスタッフに示せば、スタッフは当然作業にとりかかってアイデアが実現すると考えてしまうこと。

真に優秀な人たちは自分たちが優秀だということを知っているから、その人たちのエゴを甘やかしてやる必要はほとんどない。いちばん大事なのは仕事だし、みんなそれをわかっている。

自分たちの能力を疑っているんじゃないかと思わせないようにしながら、同時に、その特定の仕事に関しては、チームの目的に貢献していないとわからせるようにしなければならない。

私は、自分が正しいかどうかにこだわらないタイプなんだ。こだわるのは成功するかどうかだけ。(中略)自分の意見が間違っていても気にしない。自分がよく間違えるということを、私は認める。私にとってはたいしたことではないんだよ。肝心なのは、正しいことをすることだ。

人間は道具を作ることによって生まれ持った能力を劇的に増幅できるんだ。

ピカソがこう言っている。「優れた芸術家は真似る。偉大な芸術家は盗む」とね。私たちはすばらしいアイデアをいつも臆面もなく盗んできた。

他にも、ここでは紹介しきれないほど数多くの内容を語っており、何度も繰り返し読みたい本である。

また、このインタビュー映像が全編DVDになっているのでこちらもオススメ。

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