信号待ち。
歩道と車道、それぞれに信号がある交差点。
向かいの信号が青に変わる直前、その一瞬だけ。
全ての信号が赤に変わる瞬間が訪れる。
その交差点にいる全ての人が停止して、信号が青になるのを待つだけの時間。
その束の間の静寂がとにかく好きで、私はただ足を止める。
人がいなくても、車がいなくても、信号を待つ。
瞬間、全てが調和して。
いや、赤と赤が打ち消し合って、溶けて消えてしまうようで。
景色と人と車が、すみずみまで同化していく。
無を体感する。
そして止められた時間が、再び青によって動き出す、その瞬間に。
私はそのひと時に、ただただ恋をしてしまうのであった。
…………
たまにはこんな雰囲気もいいんじゃないでしょうか。
うめぼしでした。