会社員時代、飲み会の席で後輩にポツリと言われた言葉がある。
「言ってくれなきゃ、全然わかんないですよ。」
この言葉がずっと僕の胸に刺さったまま。
いつも通りに、暗い顔をしちゃダメだ。不安にさせるよりも明るい話をしないと。ずっとそう考えて、感情を殺して、馬鹿みたいに明るく振る舞っていた時にポツリと言われたのだ。
最初は誰かに向けた言葉じゃないと思っていた。
だが、文末。どう考えても誰かに向けての言葉だ。
周りにはもう既に出来上がっている酔っ払いと僕しかいない。
僕に対しての言葉だと気付いたのは、その飲み会の帰りのバスの中だ。
ソフトドリンクしか飲めない。酔っぱらいの介錯をしていたとはいえ、アルコールを一切飲んでいないのだから気付けたはずだ。言われた時に反応できたはずだ。だが、それも出来ず。自分一人の世界になってようやく気付く。そのときには遅すぎた。
弁解も、謝罪も、何も出来ない。ただ受け止めることしか出来ない。
その日の夜、後悔しかしなかった。
後輩にずっと気を使わせていた。
それも気付けずに「自分は明るく」なんて考えてなんとも馬鹿な話だ。
それからずっと、無理だけはやめよう。
感情を殺すこともあるだろう。
だが、いつまでもそんなことはやめよう。
そう思った。
それから、どれだけ大変な事案を抱えようと、どれだけ空気が悪かろうと、とにかくマイナスの感情だろうがプラスの感情だろうがぶつけよう。
そう決めて、周りにもそれを伝えてきた。
突然変えても混乱させるだけだから。
それから、ずっとぶつけてきた。
上司だろうが部下だろうが、年上だろうが年下だろうが。
それから、ずっとためることをやめた。つもりだった。
どうしても貯まる。溜まる。
だけど溜めると苦しくなるのはもう分かりきっている。
自分がどうしたいか。自分の選んだ選択がなんなのか。
それを、自分の中で明確化して、それをベースに行動する必要がある。
それを、分かっているはずなのに分かっていなかった。
もう一度。自分がどうしたいか。自分の選択を。
人生は選択だ。
それぞれが決めた選択が、道を作る。
その道が生きてきた「証」なのだろう。
今の選択は、今後の選択にも何か影響を与えるのかもしれない。
だから、だからこそ。
過去に決めた大きな選択。今決めた全ての選択。
それを、思い出しながら、進んでいこう。
それが、自分であり、自分自身の人生なのだ。