一
「ねぇ、美沙。今日カラオケ行かない?」
「いや、あたしカラオケ苦手なの知っとるやろ!」
ーーキツい。
...
二
ああ、良かった。
誰もいなかったんだ。
ドゥナが聞かれてなくて、本当に良かった。
2...
三
「ただいまー、って誰もいないか」
そう、今日は両親の結婚記念日だ。
1年に1回、必ず訪れる素敵な日らしい。
結婚って、どんな感じなんだろー。
でもあたし、音感ないからなぁ。
子供が生まれたりしても、子守唄とか歌ってあげられないよ?
それもこれも、あたしのドゥナのせいだよ?
両親の音感が、あたしに遺伝しなかったせいだよ。
あ、そうだ。
今は、家だ。
今なら大丈夫。
誰に聞かれる心配もない。
あたしは、深呼吸をしてから思いきり叫んだ。
「ドゥナーーーーッ!!!!!」
「何であたしにドゥナが来てないの! なんで音感ドゥナが来てないの?」
「ドゥナーーーーッ!!!!!」
「説明しよう。ドゥナとはDNAの事なのだ!」
「ヒャッハーーーーッ!!!!!」
「ドゥナーーーーッ!!!!!」
あー、しょーもな。
何なの、ドゥナって。
誰かに聞かれたら、まじドゥナだわ。
あたし、完全にドゥナだわ。
意味は良くわからんけど。
絶対、ドゥナだわ。
ピーンポーン。
ん? 誰か来た。
「はーい!」
誰だろう?
そう思って、あたしがドアを開けてみると、そこには配達屋さんが、いた。
「お届け物でーす」
「あ、はーい。ありがとうございます」
あたしは、荷物を、受け取った。
受取印を、押した!
四
受け取った荷物は、玄関にそのまま置いておいた。
だってきっと、お父さん向けの荷物だも...